最近は、サラリーマンや若い方でも自分で資産運用をして生活費や老後の資金を生み出そうとする人が増えています。保険や株、FXや仮想通貨など様々な投資方法がありますが、ここでは不動産投資の1つであるワンルーム投資について詳しく紹介していきます。

ワンルームマンション投資とは

 

区分マンション投資の種類の中で、間取りがワンルームのマンションの一室に投資をすることです。木造アパートとは違い、比較的規模が大きくエレベーターのついたRC造が一般的です。一棟丸ごと買い上げるわけではないため比較的安価で始めることができます。中古の場合、地方であれば数百万から、都心であれば数千万から購入することができます。

ここではワンルーム投資における新築マンションと中古マンションの違いについて見ていきます。

新築マンション投資のメリットとデメリット

新築マンションというとメリットが多いような気がしますが、そこにはやはりデメリットも潜んでいるのです。メリットの多い新築マンションですが、デメリットも合わせてみていくことで、リスク回避につなげていきましょう。

新築マンション投資のメリット

新築マンション投資のメリットを大きく3つに分けて見ていきます。

・新築物件は人気があり入居率が高い

新築の場合、その時代に応じた最新の設備が整っているため、人気が高いことが特徴です。建築完了前から申し込みが入り、入居者が殺到する事もあり、最初のうちは入居付けにあまり苦労することがありません。

・耐用年数が長いため融資が組みやすい

RCマンションの法定耐用年数は47年なので、建物の価値は47年かけて減価償却していくことになります。融資を受ける場合、金利も重要ですが融資期間もとても重要です。例えば木造の場合、法定耐用年数は22年と短いため、融資期間も必然的に短くなってしまいます。同じ金額を借り入れたとしても、期間の違いにより年間の返済額は大きく変わってきます。年間返済額が低ければ低いほど手元に残るキャッシュフローが大きくなります。銀行にもよりますが、法定耐用年数内でしか融資を組めない場合と、法定耐用年数プラス数年の融資期間を設けてくれる場合とがあります。いずれにしても、法定耐用年数が長い方が融資期間を長く取ることができるため、レバレッジの効いた投資が可能となります。

融資条件は不動産投資の成否を分けるといっても過言ではないほど重要で、新築物件の場合は担保評価が高いため、中古物件に比べて比較的好条件で融資を受けやすくなります。

・初期は月々の固定費が低く抑えられる

不動産投資で収支のシミュレーションをしていく中で、最も気にしておかなけらばならないのが、毎月発生するランニングコストと言われる固定費用です。ワンルーム投資の場合、固定費用の大半を占めるのが管理費と修繕積立金です。新築の場合は建物に不具合が起こる可能性は低いため、修繕積立金が低めに設定されています。また、水道管の破裂など大きな出費を伴うような破損のリスクなども低くなります。ただし、年数が経過した場合や修繕が必要になった場合などは、修繕積立金が上がることが予想されます。

新築マンション投資のデメリット

新築マンション投資のデメリットを大きく3つに分けて見ていきます。

・新築直後の数年で物件価格が下落しやすい

新築であるという事は購入するオーナーにとっても、入居する借り手にとってもメリットが多く魅力的です。しかし、その分、評価額が高くなっているというデメリットがあります。新築だという理由で評価額が高い場合、年数が経過したときに物件価値が大きく下落する事になります。実際、買った瞬間に2割下がるなどということもあります。土地や建物の適切な評価額を知り、新築であることで法外な上乗せ価格になっていないか、冷静に判断する必要があります。

・キャッシュフローが出にくい

そもそも新築物件は中古物件に比べると表面利回りが低めになっているため、キャッシュフローが出にくいのは当然です。中古の場合は、経年劣化や不具合のリスクが高まるため、販売価格が低めに設定されている分、表面利回りが高くなることが予想されます。新築にはそのリスクや劣化がない分、販売価格が高くなっており、表面利回りも下がってしまうのです。

さらに新築の場合、建設途中で売買契約を交わすことが多々あります。その際に指標となるのは、不動産会社から提示される事業計画書にある収支予測です。表面利回りを高く出すために月々の家賃収入を大きく見積もり、販売価格をつり上げていないかしっかり見極める必要があります。事業計画で設定されていた家賃で入居が決まらず、初めから家賃を下げてしまうと予定していた収支計画が大きく狂い、キャッシュフローが出にくくなってしまいます。

・賃料が数年で下がる場合がある

戸建てや区分マンションでも、テナントやアパートでも、新築の人気が高いことは言うまでもありません。そのため、最初は高めの家賃設定でも比較的簡単に入居が決まります。しかし、数年経って退去が出た場合はどうでしょう?築浅で比較的建物の状態が良好な時ならばよいですが、経年劣化が見られるようになってくると、新築の時と同じ家賃で入居を決めるのは困難になります。新築時よりも家賃が下がる場合もあるため、何年でどのくらい下落するかは、その時の市場や物件価値によって様々で予測困難ですが、次の入居募集の時に家賃が下がるかもしれないことも考慮しておく必要があります。

中古マンション投資のメリットとデメリット

 

中古といえばマンションに限らず、新築よりも劣ってしまうイメージがあります。しかし、不動産投資においては、中古マンションの方がメリットがあると捉える人も少なくありません。そんな中古マンション投資のメリットとデメリットを見ていきましょう。

中古マンション投資のメリット

中古マンション投資のメリットを大きく3つに分けて見ていきます。

・新築に比べて価格が安い場合が多い

立地の良い築浅マンションや地価の高騰などにより中古マンションの方が新築マンションよりも高くなる場合が稀にありますが、基本的には中古の方が新築より価格が安い傾向にあります。中古マンションの価格は、実際の年間家賃収入や減価償却した建物価値を元に割り出されます。中古という事で価格が安くなっている分、新築よりも表面利回りが高くなります。

・最初から見通しが立てやすい

オーナーチェンジ物件と言われる中古マンションの場合は、すでに入居者がいる状態で賃貸経営をスタートできるため、家賃設定や入居募集などの手間が必要ありません。また、築年数に応じた家賃の下落率であるかなど、実際の数字で確認することができるため、市場の状況を判断しやすく、見通しの良い賃貸経営を始めることが可能です。

・収入に安定感がある

新築の場合は、相場以上の家賃設定になっているケースが少なくありません。少し高めの家賃設定でも、新築だからという理由で入居が付くからです。しかし、その後の家賃下落の予測が難しくなってしまいます。その点、中古は賃料も相場並みに落ち着いているため、安定した収入を見込むことができます。

中古マンション投資のデメリット

中古マンション投資のデメリットを大きく3つに分けて見ていきます。

・フルローンでの融資が受けにくい

不動産投資において融資の条件である金利と期間はとても重要なポイントです。この融資条件は個人の属性や物件価値などによって決まります。なかでも融資期間は建物種別に応じた法定耐用年数をもとに決められるため、中古の場合は期間が短くなってしまいます。例えば、新築マンションなら法定耐用年数は47年ですが、築27年経過していれば残りの20年プラスαで24年が法定耐用年数となり、融資可能期間もこれと同等になります。(中古の場合は特別な計算方法があるためプラスαが発生します)融資期間が短ければ月々の返済額が大きくなり、収支計画に支障をきたす恐れがあります。頭金を多く入れるなどして融資額を低く抑えられれば可能ですが、融資額が大きく融資期間の短いフルローンとなれば融資を受けることが困難になります。

・退去時のリフォーム費用が高くなる場合が多い

中古マンションは経年劣化が進んでいるため、退去に伴うリフォーム費用が高額になる恐れがあります。クロス張替えやクリーニングといった通常の退去に伴う費用に加え、コンロやウォシュレット、エアコンといった高額な設備の取り換えが必要になる場合があることも想定しておくことが必要です。

・設備や建物の仕様が古く、修繕積立金が上昇する

築年数に応じて設備や建物の仕様が違ってくるのは言うまでもありません。内装に関してはリフォームなどで比較的簡単に生まれ変わらせることができますが、配管や建物設備などは簡単にはいきません。共用部分や建物内部の配管などは個人ではどうにもできない上に、修繕費用が上乗せされた場合、それを断ることもできません。設備の老朽化は急な出費を招きますし、建物の仕様の古さは人気低下をもたらします。

ワンルーム投資の失敗事例

ワンルーム投資のメリットやデメリットを見てきましたが、理解していても失敗はつきものです。失敗事例を知ることで、同じような失敗を回避してリスクコントロールをしましょう。

年数が経つと利回りが下がってしまう

事業計画は現状の家賃・管理費・修繕積立金をもとに収支計算されています。しかし、年数が経過すると家賃は下落し、管理費や修繕積立金が上昇していくことが予測されます。そうなると、収入が減少し経費である支出が増えることとなり、表面利回りも下がってしまいます。特に新築マンションで高めの家賃設定をしている場合などは注意が必要です。築年数が経った競合物件の家賃相場を調べるなどして、数年後、数十年後のシミュレーションをしてみることが大切です。

売却時に価格が下がってしまう

建物は経年劣化により減価償却していくため、売買の際、新築時よりも価格が下がってしまうのは当然です。(場所やタイミングによっては新築時よりも高くなる場合もあります)それが、減価償却に見合うペースでの下落であれば想定の範囲内ですし、それまで得てきたキャッシュフローと相殺すれば問題ないのですが、新築ということでプレミアム価格になっていた物件などの場合は、購入した瞬間に売却価格が想定外の下落を起こすことがあります。そうならないためには、新築だからと飛びつくのではなく、周辺環境やターゲット人口、競合物件の有無やエリアの人気度などの情報収集を行い、分析することが大切です。

固定資産税があまり下がらない

固定資産税は土地と建物のそれぞれの価値に合わせて分けて徴収されます。土地の価格は大きく変化しないため、固定資産税もほぼ横ばいです。建物は減価償却期間に応じて価値が下がっていくため、固定資産税は少しずつ下がっていきます。しかし、RC造であるマンションの減価償却期間は47年もあるため、なかなか価値が下がらず固定資産税もあまり下がりません。

家賃保証が変更される

不動産会社とサブリース契約を結んでいる場合に適用される家賃保証ですが、これは入居が付かなくても家賃分を不動産会社が保証してくれるといった空室リスク対策となる契約です。ただし、相場の想定家賃の10~20%前後が手数料として差し引かれます。さらに、家賃設定は不動産会社によって決められ、更に1、2年ごとの契約更新時に引き下げられていくことも想定しておかなければなりません。

まとめ

不動産投資は、株や仮想通貨といった他の投資に比べて、先のことがある程度見通せるのが特徴です。もちろん簡単ではありませんが、エリアの特徴を知り、人口分布や人の流れを知り、周辺の競合物件の情報を知ることで、分析による予測が可能です。様々な情報を集め、デメリットを考慮しながらシミュレーションしておけば、リスクを最小限に抑え、安定したマンション経営を行うことが可能です。デメリットにもしっかりと目を向け、表面利回りといった目先の利益にとらわれず、自分なりの情報分析や収支予測を立ててリスクコントロールを心がけましょう。